耐衝撃・耐爆解析
近年、世界各地で高まるテロの脅威は、日本においても現実味を帯びてきています。また増加傾向にある異常気象により、竜巻による飛来物の衝突事故の懸念のほか、度々発生するプラント建物の爆発事故など、地震以外の災害リスクとして、衝撃や爆発を考慮した対策の重要性が増しています。
当社では、長年蓄積してきた構造解析技術を活用し、建物や地盤への「耐衝撃・耐爆解析」コンサルティングや、関連するソフトウェアパッケージをご提供しています。また、本サービスは電力重要施設等で多くの実績があります。
評価内容
- 竜巻等による飛来物衝突の対策設計における解析
- 噴石など飛来物衝突による貫入量評価、落石防護工などの解析
- 落錘衝撃実験、射撃試験、竜巻風圧実験などの構造物応答の解析
- 構造物耐爆設計における解析
- 容器内部の衝撃内圧による動的耐爆応答解析
- 構造物の進行性破壊解析
解析例
1 鉄筋コンクリートスラブに飛翔体が衝突した際の有限要素法による損傷評価
飛翔体が鉄筋コンクリートスラブに衝突した実験研究において、シミュレーション解析を行いました。ソリッド要素とビーム要素を用いてコンクリートスラブ、鉄筋および飛翔体を有限要素モデル化し、鉄筋とコンクリートの非線形物性特性を考慮した衝突解析を実施しました。
解析結果から、実験結果をよく再現できていることが確認されています。
2 非線形動的有限要素解析を用いたプラント建屋の耐爆設計
米国のASCE(American Society of Civil Engineers)が制定した石油関連施設の耐爆設計ガイドラインに基づき、化学プラントの鉄筋コンクリート建屋において、有限要素法で解析した杭・地盤を考慮した非線形耐爆計算結果により、建物と杭の耐爆設計を行いました。
3 落石による敷砂の衝撃挙動の個別要素法を用いた解析
落石対策の一つである落石覆工では、落石による衝撃力の緩和を目的として、プレストレストコンクリートや鉄筋コンクリートの屋根部に何らかのクッション材が設置されます。
本解析例では、クッション材として多用されている川砂や山砂などの敷砂に落石した際の衝撃挙動について、重錘衝突による室内実験とシミュレーション解析を行いました。実験に使用した重錘形状を精度良くモデル化し、サンドクッション層を異なる大きさの個別要素の集合体としてランダムにモデル化しました。
解析結果は、実験結果をより良く再現できていることが確認されています。
- 関連論文
「落石による敷砂の衝撃挙動の個別要素法を用いた解析について」(構造工学論文集 Vol.57A,2011年3月,渡辺ら)
4 噴石衝突時におけるコンクリート版破壊シミュレーション
噴石が高速でコンクリート版に衝突する際の破壊シミュレーション解析を行いました。計算には、コンクリート版や噴石の変形と破壊を考慮可能な二次元の粒子法(SPH法)と個別要素法(DEM)の連石解析を用いました。また、コンクリートが破壊する前の連続体としての挙動を粒子法で計算し、破壊してばらばらになった後の挙動は個別要素法で計算しました。
シミュレーションの精度向上に向けて、パラメータ設定が与える影響についても研究しています。
- 関連論文
「噴石衝突時におけるコンクリート版破壊シミュレーションに用いるパラメータの影響」(日本建築学会,2016年8月,正月ら)
関連図書
土木学会(2017.9)「構造工学シリーズ27 爆発・衝撃作用を受ける土木構造物の安全性評価-希少事象に備える―」
○解析例2:「第Ⅰ編第6章 ASCE耐爆設計指針によるRC構造物の耐爆設計解析(P.63-72)」(当社所員が執筆)に詳細が掲載されています。
○解析例3:「第Ⅱ編第4章 ロックシェッド,落石防護棚の耐衝撃挙動と性能照査事例(P.273-332)」に詳細が掲載されています。
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