火災延焼予測
大規模地震による建造物の倒壊を原因とする被害は甚大であり、建造物の耐震化の重要性が叫ばれています。その一方で、都市防災、市街地の安全化のために主要な柱を構成し、今も変わらない重要性を持つ課題の一つが都市の火災延焼対策です。
本ソリューションは、大規模地震時に発生すると考えられる市街地での火災を、延焼モデルを用いて予測し、その被害想定結果の対策として防火帯や防火区画の配置といった火災に強い都市計画の策定や、地域住民への避難誘導や啓蒙活動の一助として実施しています。
ソリューションの説明
本ソリューションでは「直下型の地震を踏まえた出火要因や延焼性状の解明と対策」に資する火災延焼予測モデルとして提案された「東消式97」をベースに延焼規模を予測します。本モデルは、東京消防庁管内に発生した昭和55年から57年までの3年間の建物全焼火災100平方メートル以上のデータに基づき検討された既往の「東消式」に、阪神・淡路大震災のデータを加えて修正したもので、酒田の大火や阪神・淡路大震災時の火災被害の再現性もある程度確認されています。 本ソリューションでは、出火時の風速・風向、湿度、発生した地震の最大加速度をベースとした建物倒壊、地域の木造混成率、建ぺい率、建物の規模、隣棟間隔などを考慮して延焼規模を予測することができます。
受託事例
出火点からの延焼予測シミュレーション
本事例は、出火点を仮定し、ある地震加速度に対し、延焼対策として道路の設置を仮定した場合の延焼の違いを予測したものです。なお、このシミュレーションには地震加速度もパラメータとして組み込まれています。 延焼対策としては、公園の設置や河川の引き込み、耐火建築物の建設などが考えられますが、延焼モデルにより、実際の市街地をモデル化し、延焼過程をシミュレートすることで都市火災対策や住民の啓蒙、避難誘導に役立てることができます。
キーワードの補足説明
東消式97
「浜田の延焼速度式」をベースに、震災時に倒壊した木造家屋の影響を考慮した燃焼現象の変化を導入して構築された延焼モデル。さらに、現在では、耐火建築物の内部に延焼が及ぶことなど、耐火性能が低減する可能性を踏まえた延焼モデルである「東消式2001」に引き継がれている。
関連ソフトウェア
- NIST配布のオープンソースによる火災シミュレータ
Fire Dynamics Simulator and Smokeview(FDS-SMV)