省エネ/室内の気流・温熱環境解析
ウイルス感染リスクの低減や快適性、省エネ等、居住空間やオフィス空間に求められる設計技術はますます多様化しています。また地球温暖化による外部環境の変化に伴い、施設の外壁部材の選択や、自然換気の利用、窓や空調設備の配置等を設計に適切に反映することも非常に重要となっています。
構造計画研究所では、豊富な流体解析技術をもとに、快適・効率的な居住空間の提供をサポートします。
評価対象例
- オフィス空間の快適性(⇒評価事例①)
- 住宅の冷暖房効果の評価(省エネ)(⇒評価事例②)
- 壁材の違いによる断熱効果の評価
- 飲食店の分煙評価
- 駅構内の換気・排煙評価
- アトリウム空間の温熱評価
- 日射を考慮した室内の温熱評価
- サーバールーム等の温熱環境アセスメント
- 結露対策の効果検証
評価指標/結果の表示方法
- PMVなどの様々な指標で評価可能
- 任意断面でのコンタ図表示や、流跡線の作図
- 任意の点における値の変化をグラフ化することも可能
- 変化の様子をアニメーションで表示させることも可能
評価事例
1)オフィスモデル
快適性の可視化:
快適性を測る指標の一つに「PMV:予測平均温冷感申告」というものがあります。PMVは、国際規格ISO7730が採用する、人が感じる暑さや寒さの指標です。図1-1に示した、外的な要素4つと人間側の要素2つ、計6つの要素から算出され、「-3(寒い)」から「+3(暑い)」の7段階で表現します。
ここでは、シミュレーションによりPMVを可視化し、窓が無く風通しが悪い会議室において快適性を向上させる案を検討した事例を紹介します。
図1-2に示したオフィスモデルにおいて快適性をシミュレーションにより可視化したところ、壁で仕切られた、窓のない左奥の部屋でプロジェクターを使用した場合、PMVの値が、快適域とされる-0.5から0.5の範囲から大きく離れた値となってしまうことが確認できました。改善策として、壁の上下にスリットを入れた場合で再検討すると、図1-4に示すように、快適性向上に効果があることが確認できました。
ウイルス感染リスクの低減:
換気効率を改善することは、ウイルス感染リスクの低減につながります。そのため、室内で空気が滞留しやすい場所を把握し、設備や設計へ反映することが大切です。
ここでは、室内の換気の状況を確認するため、流入してきた新鮮な空気と、もともと室内にあった空気を濃度分布で示した事例を紹介します。
図1-6に、新鮮な空気を0、もともと室内にあった空気を1として換気を開始したときの、30分後までの経過の様子を示します。しばらく時間が経過しても濃度の濃い空気が占めている場所は、空気が滞留しやすい場所と言えます。本解析例では、部屋の右奥の領域が換気されにくいことが分かります。
このようにシミュレーションを活用することで、効率の良い換気設備の配置等を設計段階で検討することができます。
2)住宅モデル
エネルギー効率:
居住空間の設計や間取り、材質により、部屋の暖まりやすさや熱の伝わりやすさは異なります。空調シミュレーションの結果を設計に反映することにより、快適な居住空間の実現や、エネルギー効率の向上とそれに伴う省エネの実現につなげることができます。
ここでは、冬場に下層階が暖まりにくいというデメリットを抱えた吹抜けがある住宅でも、床暖房などの設備を上手に組み合わせることで空気の循環を生み出し、エアコンの効果を高めることが可能であることをシミュレーションにより表現した事例を紹介します。
図2-1の住宅モデルを用いて、まずは吹抜けがない場合とある場合でどの程度暖まりやすさに違いが出るのかシミュレーションしてみます。
図2-2のような設定でエアコンを運転させた結果を図2-4に示します。
やはり吹抜けがある場合には、ない場合に比べ1階が暖まりにくいことが確認できました。
続いて、暖まりにくい吹抜けありの住宅で、寒さ対策を施した場合の暖まり方をシミュレーションしてみます。実際に吹抜けのある住宅で利用することの多い床暖房を設置した状況をシミュレーションしてみます。
図2-5のように床暖房を設置したモデルでシミュレーシを行った結果を図2-6に示します。
床暖房を設置することで、吹抜けのある住宅でも1階を効率的に暖める効果が見込めました。
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