はじめに
弊社の成層地盤地震応答解析プログラム「k-SHAKE+ for Windows」は解析機能として、「SHAKEを用いた等価線形解析」と「時刻歴非線形解析」をサポートしています。前回は「SHAKEを用いた等価線形解析」についてご紹介しました。今回は、もう1つの解析手法である時刻歴非線形解析について説明していきたいと思います。
時刻歴非線形解析の特徴
本手法の概要
SHAKEでは地盤を連続体とみなし、支配方程式である波動方程式を解くことで応答波形を算出します。一方、時刻歴非線形解析では地盤を質点とバネから成る多質点モデルとして取り扱い、運動方程式を直接積分する事で、時々刻々の応答を算出します。なお、入力地震動を露頭波とする場合は基盤層以深を半無限地盤として取り扱う必要がありますが、これは多質点モデル下端に基盤粘性減衰Cbを加える事で実現されます。
- 非線形性の考慮
周波数領域で解析を行うSHAKEに対し、時刻歴非線形解析では文字通り時間領域で解析を行うため、時々刻々と変化する地盤の材料物性を考慮する事が出来ます。そのため、時刻歴非線形解析はSHAKEと比較して大きなひずみレベルまで適用する事ができます。
- 層分割
時刻歴非線形解析では質点を用いた離散化を行うため、層の厚さの設定によって結果に差が生じます。評価したい波の波長よりも層の厚さが大きい場合、波の振動を正しく表現できません。そのため層の厚さは、解析したい最大振動数とせん断波速度に対応する最短波長を考慮して決定する必要があります。
留意点
時刻歴非線形解析は、SHAKEと比較してより大きな歪にも適用可能な手法ですが、地盤を質点とバネから成る多質点モデルとして取り扱うため、SHAKEでは可能であった上昇波・下降波の分離・引き戻し解析を実行する事が出来ません。目的に応じて適切な解析手法を選択していただく事になります。