地盤の地震応答解析
構造物の振動解析において、工学的基盤レベルの地震動が与えられている場合、工学的基盤から床付位置までの表層地盤を伝播する地震波の増幅を考慮する必要があります。その際行われるのが、地盤の地震応答解析です。地盤の地震応答解析手法は、モデル化の方法や、地盤の非線形性の考え方などの違いにより様々な手法があります。
弊社では成層地盤地震応答解析プログラム「k-SHAKE+ for Windows」を提供しております。本製品は解析機能として、「SHAKEを用いた等価線形解析」と「時刻歴非線形解析」をサポートしています。今回は、そのうちの1つである、SHAKEを用いた等価線形解析について説明してきたいと思います。
SHAKEを用いた等価線形解析の特徴
本手法の計算フロー
それでは本手法の計算フローを説明します。
Step1
本手法ではまず、複素フーリエ変換により入力地震波を時間領域から周波数領域に変換します。
Step2
次に、重複反射理論という手法に基づいて地盤から剛性・減衰を評価し、振幅倍率(伝達関数)を算出します。重複反射理論では、モデル化された各層の地盤に、以下の波動方程式を用います。
Step3
Step2で算出された振幅倍率と、周波数領域に変換した入力波形をかけ合わせることにより、周波数領域での応答を求めます。
Step4
最後に、複素フーリエ逆変換により、周波数領域から時間領域に変換して、地表の応答波形を算出します。
留意点
本手法は、周波数領域で解いているため、時々刻々と変化する土の非線形特性を考慮することができません。そのため、等価線形化法という手法により地盤の非線形性を考慮しています。この手法では、全時刻で同一の物性値を用いるため、歪レベルが大きくなると、精度は低下します。歪の適用範囲は、必要とする解析の精度や地盤条件にもよりますが、一般的には0.1%~1%までと言われています。
次回は、地盤の非線形性を時々刻々と評価する「時刻歴非線形解析」についてご紹介します。