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復興のシンボルにおける橋梁モニタリング

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年号が令和に変わって間もない7月初旬、宮城県が「復興のシンボル」として建設を進めていた「気仙沼大島大橋」を見学してきました。

気仙沼大島大橋は、宮城県が復興事業のひとつとして整備を進めている「大島架橋事業」の一環として建設され、平成の時代が終わる平成31年4月7日に供用を開始しました。

見学にあたり、宮城県気仙沼土木事務所の職員の方から大島架橋事業について説明していただきました。気仙沼土木事務所の方の話しによると、気仙沼湾に位置する大島は、当時本土との交通手段がフェリーのみであり、住民の日常生活における利便性の向上や救急医療などの安全・安心の確保はもとより観光誘致や地域間交流による大島地区の活性化を推進する観点からも架橋を望む声があがっていたそうです。そういった地元住民の願いにより議会においても議論がなされ、架橋を前提とした事業計画案が承認されたとのことです。ただし、その時点においては予算計上などの具体的な事業計画が承認されていたわけではなく、架橋事業の実現性の検討段階であったとのことでした。そのような時に東日本大震災が発生しました。東日本大震災時の津波により、大島地区の住民の方々は本土への陸路がないことがネックとなり、長期間の孤立を余儀なくされるなどの甚大な被害を受けられたそうです。そのような被災経験から大島架橋の必要性が再認識され、災害時の緊急輸送路としての機能を向上させ、気仙沼市のまちづくり計画とも調整を図り、平成31年4月の気仙沼大島大橋の全面開通に至ったとのことでした。今回の開通により大島と本土が陸路でつながり,大島地区住民の日常生活における利便性の向上や救急医療活動への支援 ,観光交流や産業の活性化などが期待されています。なお、大島架橋事業にご興味を持たれた方は、下記の宮城県のホームページをご参照ください。

http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/ks-doboku/o-shima.html

また、特筆すべきこととして、復興のシンボルとして建設された気仙沼大島大橋において、未来に向けた先進的な取り組みである光ファイバセンシング技術を採用した橋梁モニタリングが運用されています。

気仙沼大島大橋に設置されているモニタリングシステムは、橋梁の上部工の主要な部材に光ファイバを張り付け、当該部材に発生しているひずみや温度などを計測し、計測されたデータを分析することで地震や台風などの異常時における橋梁の健全性の把握や長期にわたる供用時の予防保全管理を目的としたモニタリングシステムです。なお、気仙沼大島大橋は橋長356m、アーチ支間長297mの鋼中路式アーチ橋であり、光ファイバセンサは補剛桁およびアーチリブに設置されています。

本見学会はNPO法人光ファイバセンシング振興協会(http://www.phosc.jp)の企画により実施されたものです。光ファイバセンシング振興協会は、安全・安心な社会を構築するために有効な光ファイバセンサ技術の社会実装を加速推進することを通して、多くの方々との連携を図りながら社会貢献を目指している協会です。弊社も本協会の会員企業として活動しております。また、弊社においても気仙沼大島大橋における橋梁モニタリングと同様なセンシングを基盤とする構造ヘルスモニタリング事業に取り組んでおります。なお、弊社における取り組みについては、下記の弊社ホームページをご参照いただければ幸いです。

https://www4.kke.co.jp/kaiseki/service/maintenance/maint_01.html

今後、気仙沼・大島地区のご発展とともに大島大橋のモニタリングの計測データが有効に利活用され、橋梁を対象とした予防保全管理方法に新たな技術革新をもたらすきっかけとなることを願っております。

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