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地震観測記録とシミュレーション結果の比較~その1~ | KKE解析技術者ブログ|構造計画研究所

地震 建築

地震観測記録とシミュレーション結果の比較~その1~

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1. はじめに

KKEは東京都中野区に建つ事務所ビル(KKE本所新館)に地震計を設置しており、20年以上にわたり地震観測を行ってきました。 本報では、観測してきた地震動の中で大きな地震動を選び、観測とシミュレーション結果の比較を行った第一弾の結果をご紹介します。

2. 検討対象建物

本検討の対象建物は東京都中野区に建つ地上9階、地下2階(平面寸法NS方向:28.2m、EW方向:22.6m)のオフィスビル(KKE本所新館)です。構造形式は地上部分がS造、地下部分がRC造(一部SRC造)であり、基礎は直接基礎となっています。また、地上階の4面にブレース型オイルダンパーを2基ずつ計72基配置しています。

建物内にはB2F、1F、5F、9F、RF、敷地の地盤にはG.L.-1.0m、G.L.-15.0mおよびN値50以上となるG.L.-50.0mに加速度計を設置しています。

図1 加速度測定位置及び解析モデル

3. 観測記録

検討に用いる観測波は1999年9月13日~2011年10月18日までに観測された地震動の内、地表面(G.L.-1.0m)の最大加速度が最も大きな地震と東北地方太平洋沖地震の余震としました。なお、東北地方太平洋沖地震の本震はデータが上書きされてしまい、取得できていません。表1に検討用観測地震波一覧を示します。

表1 検討用観測地震波一覧

Case地表面
最大加速度
(cm/s2)
地震波名加速度計
観測時刻
マグニ
チュード
145.1千葉県北西部地震2005/07/23 16:35M6.0
231.7東北地方太平洋沖地震(余震)2011/03/11 15:16M7.7
※地震本部HP https://www.jishin.go.jp/ のマグニチュードを表示しています。

4. 検討方針

解析モデルは質点系モデルを使用します。また、埋込部分の影響を考慮し、振動アドミッタンス理論によって求めた底面ばね及びNovakの側方ばねを配置しています。なお、側方地盤の拘束の影響が小さいケースとして、側方ばねを配置しないモデルも併せて検討しています。 入力地震動は基礎底面位置に近いG.L.-15.0mの観測記録を地盤解析(SHAKE)により基礎底面位置(G.L.-11.53m)まで引き上げた結果を用いることとしました。建物の減衰は初期剛性比例減衰とし、1次固有周期に対して減衰定数2%をとしています。

5. 検討結果

図2に観測とシミュレーションの最大応答加速度を比較した結果を示します。なお、Case2のNS方向のRFは正常に記録ができていないため、結果を記載していません。解析結果は全体的に観測よりも大きくなる傾向となりました。また、側方ばね有に比べ側方ばね無の解析結果が観測記録に近い結果となりました。

図3及び図4に各階の応答スペクトルを示します。建物の固有周期の1s付近において、側方ばねの有無に関わらず観測記録と近い結果が得られました。0.3s~0.4s付近では側方ばね有の応答加速度が大きくなる傾向となりました。側方入力の卓越周期と一致していることから、その影響を受けていると推測されます。一方0.1s~0.2s付近では側方ばね無の1FL及びB1FLの応答加速度が大きくなる傾向となりました。今後これらの要因について、より詳細に分析を進めていく予定です。




   (a) Case1(2005/7/23)        (b)Case2(2011/3/11)
図2 観測とシミュレーションの最大応答加速度比較

観測記録  側方ばね有  側方ばね無  観測記録(G.L.-15m)

図3 Case1(2005/7/23) 各階の加速度応答スペクトル(h=5%)

観測記録  側方ばね有  側方ばね無  観測記録(G.L.-15m)

※RF_2011.3.11NSの観測記録は正常に記録できておらず、非常に小さい応答加速度を示しています。
図4 Case2(2011/3/11) 各階の加速度応答スペクトル(h=5%)

6. さいごに

東京都中野区に建つ事務所ビルに対して観測記録とシミュレーション結果の比較を行いました。今後は地盤解析や側方地盤の影響についてより詳細に分析し、実現象の理解を深めていきます。

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