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環境振動の評価手法について(2)

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 環境振動に関係する問題として,低振動数領域における固体伝播音の問題があります.固体伝播音は構造物と空気の振動を連成して解く必要がある為,特に複雑な問題といえます.
本検討では,比較的簡易な2 次元解析モデルで地盤・構造物と空気の連成を考慮すること で,固体伝播音の解析的評価を実施します.
 解析は2 次元により行う事とし,SuperFLUSH/2D における周波数領域での検討を行いまし た.周波数領域の検討では,逐次解析で用いるような非線形挙動は扱うことができませんが, 減衰の取り扱いが簡単であるという利点があります.時間領域の検討では,ひずみエネルギ ー比例減衰等特殊な場合を除き,振動数域で一定の減衰を設定することが困難です.一方で環境振動等の問題では,数Hz~百Hz 程度までの比較的広い振動数帯を対象とすることが多く逐次応答解析で用いられるレーリー減衰や剛性比例減衰では難点があります.
  地盤はソリッド要素,建物と杭をビーム要素,空気を音響要素(ポテンシャル流体要素)によりモデル化し,地表を加振した際の地盤および建物内の空気の振動を評価しました.透 過振動数は100Hz としました.有限要素法による検討では,考慮する振動数が大きくなるほどメッシュサイズを細かくする必要があり,地盤の物性値などにもよりますが,今回の検討 では100Hz の場合でも0.2m 程度のメッシュサイズを設定する必要がありました.このメッ シュサイズの制約は,FEM による地盤・音響の解析のボトルネックの一つです.

図に地盤の鉛直応答加速度のコンター図を示します.加振位置を中心として地盤に振動が 伝播していることが確認できます.

次に,建物および地下構造物内の音響要素の音圧分布を示します.建物内の音圧分布は,理論的に導かれる直方体室内の固有モードと近い結果となっており,本検討で建物内の音圧をある程度模擬できていることが分かります.

 

次に,建物と地盤の縁を切るような対策を実施した際に,地中構造物の音圧分布がどのよう に変化するのかを確認しました.縁を切ることによって,地盤から建物への入力が低減し, 音圧分布は全体的に小さくなっています.
 また,建物内の音響要素のある一点に対してフーリエ変換を実施すると,一部の固有モードにおいて応答が低減していることが確認出来ました.このように,有限要素法を用いて,騒音を低減するような対策を行った際の効果を定量的に分析することができます.

 従来より用いられている経験式が簡単な検討手法では、振動源を1 点水平/鉛直加振として評価します。しかし、実際の振動源は複雑であり、振動源の体積評価、地盤との接地面積、加振力の評価等により検討結果に差が生じます。三次元FEM と三次元薄層要素法のハイブリッド法により、振動源や構造物と周辺地盤を適切に評価する事で、精度の良い検討が行えると言えます。

構造計画研究所では、これまで培ってきた地盤-構造物の相互作用解析のノウハウより、 交通振動や機械振動の影響評価や評価結果を元にした振動対策工法のご提案等、様々なコ ンサルティングサービスを提供しています。

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